栃尾市探検隊 もどる
平成13年9月30日、郁丸のかねてからの願望、茨木童子墓参りのため、栃尾市在住の住職で日本石仏学会理事の石田哲弥氏引率のもと、栃尾市探検ツアーが行われた。また、ツアーの顧問 ? として、魚沼文化編集長の六日町在住池田亨氏にご同行いただいた。
第1見学地 十三塚(萬安山善昌寺)
池田亨先生のリクエストにより十三塚見学。池田氏は感動して喜んでいる。石田氏は「栃尾市史が終わってから発見されたので、調査していないんだよね。池田さん、頼みますよ」。善昌寺にはたくさんの石仏が集められていた。石段が改修されたときに立てられたという「石段供養塔」あり。石段も供養されるのだ。毎日皆が利用する大切な石段。この石段が長く安全に利用されますように。という石段です。
池田氏石田氏と十三塚の一つの塚
第2見学地 南部神社(猫又神社)
いらっしゃいませ〜。 猫又神社の狛犬。あゆちゃん似。
…郁丸のリクエストにより猫又見学。南部神社は養蚕の神社であり、ネズミの害から蚕を護るために猫を祀っていたと考えられています。でも、県内各地で猫又・化け猫伝説があるので、猫については今後の研究が待たれる。私も「火車猫考」をまとめなければ。神社内に猫又像あり。「大正9年4月8日建之石工磯部○○」。また、たくさんの石塔あり。「木曜星神」「家内三宝」「御即位」「造化神社」等。詳細は石田さんが論考をまとめておられる。
うれしはずかし猫又様と記念撮影。きゃぴきゃぴ。(撮影 石田氏)
第3見学地 軽井沢
茨木童子様はひっそりと祀られていた…
軽井沢は茨木童子の故郷。童子はこの地からはるばる弥彦神社の稚児にあがったという。弥彦神社の別当寺が国上寺であった。茨木童子のお墓は茨木さんのお宅の裏にある。ただ、軽井沢は茨木さんでいっぱい。かつては全町茨木さんだった。茨木さんのお宅の屋号はニシ。かつて集落の一番西に家があったというが、現在は移転している。茨木童子の墓はとても小さい。石田氏の案内がなければ気づかない。墓の脇に鉄下駄が供えてある。「やっぱり修験道だ」。石田氏と池田氏、「やっぱりね」と顔をみあわせている。「茨木童子様、こんにちは。貧乏なのでお供えするもの何もありませんが」。賽銭を置いて手をあわせる。
ついで稚児清水を見学。昔、酒呑童子と茨木童子が遊んだという。清水の湧いているところに不動明王が祭られている。昔は童子屋敷があった(昔の茨木さん宅があった)ところに童子清水というものもあったという。童子清水は稚児清水より水量が多かったが、県道が作られた時になくなってしまったという。
八方台方向へ行き、車を降りて山道を歩く。私は「熊が出る」と一人で恐れていたが、お二人は涼しい顔。「どうせ熊がくわえて行けるのは一人だから」。私は生贄ですか。まな板石があったといわれる神社を見学。まな板石は現在行方不明。
第4見学地 太神宮(熊袋…虎熊童子の出身地)。
正式名称は熊袋の「若宮社」らしい。無人の神社である。神社の裏に板碑あり。「ロケットみたいですね」と言うと石田先生大顰蹙。「せっかく中世の板碑を見せてあげたのに」。穴の開いたドーナツのような石あり。耳の聞こえない人が石に穴を開けて奉納するのだという。奉納石灯籠あり。その一つに「寛政4年子天8月16日 願主 国上山 義苗」あり。この人は確か分水町国上山の国上寺の十三世で、国上寺を中興した方。良寛さまが暮らした五合庵に、良寛さまの前に暮らしていた方です。酒呑童子伝説で、栃尾の茨木童子が登場するのが不思議だったが、昔から交流があったようだ。それも、寺の住職が鎮守様に石灯籠を奉納しているのだから、義苗さんはもしかしたら熊袋の人だったのかもしれない。「願主 当村 藤田氏」と対になっている。藤田氏は熊袋の有力者であるとのこと。石造物あり。「参明藤開山」←これは富士権現のことだそうです。明治時代「津島神」疱瘡の神。明治15年6月15日。
大発見の石灯籠「義苗」の銘
●お土産●石田氏の紹介で、北荷頃・佐藤豆腐店でお買い物。お豆腐一丁(270円。巨大!)とあぶらげ三枚(一枚90円)をお土産に買いました。石田氏・池田氏はその倍くらい買っていました。このお店は通なら知ってるおいしいお豆腐のお店なのです。と〜ってもおいしかったです。当日の高橋家の夕食の食卓にあがりました。
石田さま、池田さま、ご同行、ご指導、本当にありがとうございました。
●後日談●義苗氏の石灯籠の発見は思わぬ大収穫。国上の郷土史に詳しい本覚院の渋谷啓阿氏によると、義苗さんは「濱」という姓で、出身は古志郡、真言宗豊山派妙圓寺(栃尾市大字下塩)で受戒、後に五合庵の住職になったということですが、詳しい出身地はわからないとのことでした。石灯籠にお名前が刻んであったので動かぬ物的証拠。酒呑童子伝説の伝播の一端が垣間見えたような気がいたしました。今後も酒呑童子伝説を追いますので、みなさま、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくおねがいいたします。