良寛さまとお酒 良寛さまと新潟お酒を美味しく頂きましょう。
全国良寛会理事 高橋郁丸
突然ですが問題です。
良寛さんのあだなはどれでしょう。
1 すがた
2 からす
3 ほたる
答えは全部です。
「すがた」は、良寛様の背がスッと高くてかっこいいことから。
「からす」は、黒い袈裟を着ていて、托鉢のために日に焼けていて色黒なことから。
「ほたる」。これは、良寛さまがお酒が好きだったからついたようなあだ名です。
良寛さまは酒作りをしていた与板の山田杜皐家に、いつも夕暮れ時にやってきたので、
「蛍」というあだ名をつけられたのです。
草むらの蛍とならば宵々に
黄金の水を妹たもうてよ
寒くなりぬ 今は蛍も光なし
黄金の水を 誰かたまはむ
草の上に 蛍となりて 待ちおらむ
妹が手ゆ 黄金の水を 賜ふとはば
こんな歌を、与板の山田家で残しております。黄金の水は、もちろんお酒です。
そのほかにも、お酒を求めてあちこちを訪れているような歌もあります。
宮酒は 近しとぞ聞く その日にや
我はい行かん 宮酒たふべ
にひむろの新室の新室の祝ぎ酒に
我酔ひにけりその祝ぎ酒に
宮酒の…の歌は、神社のお祭りのお神酒をいただきに行く歌。
にいむろの…の歌は、新築祝いのお酒をいただきに行くという歌でしょうか。
ただの酒好きでなく、「みんなとともに祝いたい」という気持ちが伝わってきます。
良寛さまのお酒の飲み方
師常に酒を好む。
しかりといえども、量を超えて酔狂に至るを見ず。
また、田夫・野翁をいわず、
銭を出しあいて買い呑むを好む。
汝一盃、吾一杯、
その盃の数多少なからしむ。
(「良寛禅師奇話」より)
割りカンで、人と仲良く飲むお酒がお好きだったようですね。
漢詩を作りながらお酒を飲んでいたこともあったようです。
漢詩を 作れつくれと 君は言へど
御酒し飲まねば 出来ずぞありける
大御酒を 三杯五杯 たべ酔ひぬ
酔ひての後は 又出来ずけり
お酒を飲まなければ漢詩は作れないよ。…飲みすぎたから漢詩、作れないよ。
…お酒のせいにしてはいけませんね。
うま酒に肴持て来よいつもいつも
草の庵に宿は貸さまし
よもすがら つま木たきつつ
円居(まろい)して
濁れる酒を
飲むが楽しさ
お酒とおいしい肴があれば、いつでも五合庵に泊めてもらえたのでしょうか?
やはり、一人酒ではなくて、みんなと楽しく飲むお酒がお好きだったようですね。
なにはともあれ、新潟のおいしいお酒。
世の中が醜いとか何だとかはさておいて、とにかく今はご一緒に。
楽しいひと時をすごしましょう。と、良寛さまは語っておられるようです。
酒くみて 語る浮世の 流れ水
濁り澄めるも さもあらばあれ
よしあしの なにはの事は さもあらばあれ
共につくさむ 一杯の酒
あすよりの 後のよすがはいざ知らず
けふの一日は 酔ひにけらしも